【グラボ】かなり複雑なGPU選びを楽にする方法【選び方】

PCを使ったゲームや動画編集、AIイラストなど様々な要素で注目を集めるグラフィックボード(グラボ)ですが、いざ購入しようと色々調べると「種類も多いし、なかなか決められない」という方は多いのではないでしょうか。

あなたの目的とそれに合ったグラフィックボードを探すためを方法を記述させていただきましたので、ぜひ参考にしてください。

そもそもグラフィックボード(グラボ)とは

パソコンの映像出力を担当するパーツ

ビデオカードまたはグラフィックカードとも呼称される本パーツは、パソコンの映像をディスプレイに出力するために必要なGPUを搭載したパーツです。

一般的にGPUは、CPUやマザーボートと呼ばれるパーツにも内蔵されており、グラボは必要ありません。ゲームなどの重い処理を必要とし、内臓GPUでは処理しきれない場合に本パーツをパソコンに搭載し、作業を担ってもらいます。

GPU以外にも様々なパーツで構成される

グラフィックボードは、GPUの他にVRAM(グラフィックメモリ)、冷却ファン、モニターとの接続に必要な出力端子等から構成されています。

VRAM(グラフィックメモリ)

PCのメモリーを『CPUが作業するのに必要な机の広さを決める』と例えられる事がありますが、VRAMは『GPUが作業をするのに必要な机の広さを決める』ものです。
映像処理を専門としており、ディスプレイに映像を出力するための一時キャッシュなどを保存しておく等の役目があります。

これが足りない状況に陥ると、映像が乱れたり、フレームレートが低下するといった症状が発生します。

冷却ファン

GPUの熱を冷却するために必要不可欠なパーツです。
グラフィックボードには、1~3つの搭載されたファンを使ってPC内部と外部に熱を逃がす内排気、搭載された1つのファン(シロッコファン)を使ってPCケースの外のみに熱を逃がす外排気があります。

GPUの主なブランドは2つ

NVIDIA GeForceシリーズ

ゲームにおいて圧倒的支持率のGeForce

NVIDIA GeForceシリーズには、従来の技術を採用したGTXシリーズ
レイトレーシング(光の屈折や反射をよりリアルにするために計算する技術)など様々な最新技術を採用した新しいRTXシリーズが存在します。

PCゲームにおいて、大きな支持を集めている人気ブランドです。

下記に現行モデル一覧を作成したので参考にしてください。
大きい数字ほど新しく、より上位グレードであることを表します。
同グレードで比較した場合、最新世代がより高性能です。

ブランド世代を表すナンバリング
(型番上2桁)
グレードを表すナンバリング
(型番下2桁)
当該グレードのアップグレードを表す記号
RTX40
30
20
90
80
70
60
50
Ti
SUPER
(S)
GTX1660
50
30
Ti
SUPER
(S)
※NVIDIA公式参照
AMD RadeonRXシリーズ

熱狂的な支持者が多いRadeon

AMD Radeonシリーズは、PCゲームにおいてのシェアは2割程とNVIDIA GeForceシリーズと比べると支持率は低いですが、単純なスペック比での価格や映像の発色がとても優れており、コストパフォーマンスを求める方、映像制作や動画編集などの生産活動を目的とする方から支持されています。

AMD Radeonは、シリーズごとでの型番形式の変更が非常に多いため、市場で容易に入手可能なものであるRadeon RXシリーズの現行モデル一覧を下記に作成しました。
こちらも数字が大きいほど新しく、より上位グレードであることを表します。
同グレードで比較した場合、最新世代がより高性能です。

ブランド世代を表すナンバリング形式グレードを表すナンバリング
(下3桁)
当該グレードの上位版を表す記号
もしくはナンバリングに付属する記号
Radeon RX7000
6000
950
900
900
800
800
750
700
650
600
500
400
XTX
XT
※AMD公式HP

基本的にRTXシリーズを推奨

コストパフォーマンスには理解が必要

豊富なラインナップで、価格やVRAMの搭載量など魅力的なものがたくさんありますが、ちょっとした環境差で欠点や不満が生まれてしまう事が多いので、選択に迷っている方は支持率が最も高いNVIDIA GeForceからRTXシリーズを採用することをおすすめします。

まずは支持率が高いものに触れて、その理由を体験してから、改めて自分の思うグラボを探してみてください。

“最低限”の目的を設定する

結局やりたいことが増えるから”最低限”というラインは大事

  • ゲームがしたい!
  • ゲーム配信をしたい!
  • AIイラストに挑戦したい!
  • 動画を作りたい!

高性能なPCや別途でグラボを購入する理由として、様々なものがあると思いますが、今見据えている目標というものは、まだその先があることを知らない状態での目標なので、後から見えた自分の将来が過去の自分の選択に足を引っ張られないように、今の自分のやりたい事は最低限として考え、グラボの選択をするのがベストです。

ゲームを目的としたグラボ選びは結構複雑

余裕があるならワングレード上のものを買いたい

あなたのやりたいゲームとはどんなゲームでしょうか。
一概にゲームと言っても様々なジャンルが存在します。アクション・シミュレーション・RPG・シューティング。最近流行しているオープンワールドや王道のリニア式まで。

いざ目的のゲームを見つけても、どこまでグラフィック設定を求めるのか、Full HDから4Kまで様々な解像度のどれでプレイしたいのか等でPCゲームは求められる性能が変わってきます。

PCゲームで主要なグラフィック関連の設定項目
解像度フレームレートグラフィック設定(プリセット)
1080P(1920*1080)フルHD
1440P(2560*1440)WQHD
2160P(3840*2160)4K
60FPS
144FPS
165FPS
240FPS
360FPS
最高(ULTRA)
高(High)
中または普通(medium)
最低(Low)

処理が重いゲームとして有名な『サイバーパンク 2077』では、各設定でプレイする際に必要な動作環境や推奨環境を公式が細分化して掲載してくれています。※公式サポート参照

動作環境最小推奨高設定ウルトラRT最小
(レイトレーシング設定を追加する)
RT高RTウルトラ
解像度1080p
(1920*1080)

Full HD
1080p1440p
(2560*1440)

WQHD
2160p
(3840*2160)

4K
1080p1440p2160p
GFX設定
(グラフィック設定)

LowHighUltraUltraRT MediumRT UltraRT Ultra
OS64-bit Windows1064-bit Windows1064-bit Windows1064-bit Windows1064-bit Windows1064-bit Windows1064-bit Windows10
プロセッサ(CPU)Intel Core i5-3570K
AMD FX-8310
Intel Core i7-4790
AMD Ryzen3 3200G
Intel Core i7-4790
AMD Ryzen3 3200G
Intel Core i7-4790
AMD Ryzen
5 3600
Intel Core i7-4790
AMD Ryzen3 3200G
Intel Core i7 6700
AMD Ryzen5 3600
Intel Core i7 6700
AMD Ryzen5 3600
グラフィックカード(GPU)GTX970
Radeon RX470
GTX 1060 6GB
GTX1660 SUPER
Radeon RX590
RTX2060
Radeon RX5700 XT
RTX2080S
RTX3070
Radeon RX 6800 XT
RTX2060RTX3070RTX3080
VRAM量(グラフィックメモリ)3GB6GB6GB8GB6GB8GB10GB
RAM量(PCメインメモリ)8GB12GB12GB16GB16GB16GB16GB
空きストレージ(SSD/HDD)70GB HDD
(SSD推奨)
70GB SSD70GB SSD70GB SSD70GB SSD70GB SSD70GB SSD
推定FPS
(フレームレート)
30FPS60FPS
60FPS
30FPS30FPS60FPS30FPS

フレームレート(FPS)は”ゲーム側の最適化×PCスペックパワー”の結果

各ゲームで描画できるフレームレートの数値は

フレームレートに影響する要素の一例
  • ゲーム側の最適化
  • ゲーム側の設定(想定)しているフレームレートはどこまでか
  • グラフィック設定による負荷
  • GPUの性能
  • GPUの処理能力を助けるCPUやストレージなどのPCパーツの性能
  • GPUドライバーのバージョン

など様々な要素が絡み合った結果であることを認識しておくことが重要です。

また、ゲームを提供する公式が掲げている推奨スペック(システム要件)についても、あくまで開発またはリリース当時に主流であったPC構成を参考に割り出された一つの指標に過ぎないことを認識しておかなければなりません。

推奨スペックという指標において明確な定義がない例
  • どこまでの解像度でプレイできるのか
  • フレームレートの数値
  • グラフィック設定

これらは、あくまでゲーム側が想定している範囲での目安であることが多く、一般的にはフルHD60FPS」を想定した場合の推奨スペックであることが多いです。

Stable Diffusionを採用したAIイラスト生成はVRAMの容量が大事

大きなサイズで描かせるなら12GB以上推奨

Stable Diffusionの基本サイズは512*512になっており、このサイズでの出力であれば6GB~でも生成可能です。
しかし、出力速度やより大きなサイズの生成を目的とするなら、よりVRAM量を搭載していないと生成中に処理落ちします。

用途別の推奨グラボ一覧

下記に目安となる用途別の推奨グラボ一覧を作成しました。
自分の最低限の目標から、1ランク上のものを選ぶのがおすすめです。

用途推奨GPU推奨VRAM容量価格目安
動画編集
エンコード
RTX3050
以上
6GB~30,000円~
AIイラスト
Stable Diffusion
など
RTX2060 12GB
RTX3060 12GB
RTX4070

RTX4070Ti
10GB以上35,000円~130,000円
Full HD(1080p)
ゲームプレイ
APEX LEGENDS
165FPS
AAAタイトル
60FPS
RTX3060
RTX3060Ti

RTX4060
RTX4060Ti
8GB以上40,000円~70,000円
Full HD(1080p)~
ゲームプレイと配信

最新エンコーダー
AV1対応
RTX4000シリーズ
推奨
RTX4060Ti
RTX4070

RTX4070Ti
RTX4080
RTX4090
8GB以上70,000円~300,000円
WQHD(1440p)
ゲームプレイ
APEX LEGENDS
165FPS
AAAタイトル
60FPS

120FPS
RTX4070
RTX4070Ti

RTX4080
10GB以上80,000円~180,000
4K(2160p)
ゲームプレイ
APEX LEGENDS
165FPS
AAAタイトル
60FPS

120FPS
RTX4070Ti
RTX4080

RTX4090
12GB以上120,000円~300,000円

PC全体のパーツ構成について悩んでいる方は、是非こちらの記事もご覧ください

換装/増設は要注意

PCIeスロットの有無や電源ユニットなどの確認が最重要

  • 電源ユニットがグラボの推奨電源容量を満たしているか
  • グラボが要求するコネクタが電源ユニットに接続可能か
  • マザーボードのPCIeスロットがグラボに対応したレーン数であるか
  • PCケースのサイズ確認

メーカー製パソコンは、基本的に増設・換装を想定していません。

グラフィックボードは、PC内部構成パーツであるマザーボードに、対応するPCIeスロットがなければ搭載することができず、尚且つPCケース内に入るかどうかを確認しなければなりません。
さらに性能を最大限発揮するためには、PCIeスロットが対応した規格である必要もあるため、メーカーPC等への後付けは問題が山積みです。

例えば、レーン数×16または×8の4.0に対応したグラボを3.0まで対応のマザボに搭載しようとした場合

レーンPCIe4.0PCIe3.0
×16256Gbps128Gbps
×8128Gbps64Gbps

メモリの帯域幅が本来出せる性能よりも制限されてしまい、描画性能を最大限発揮できないなどが起きます。

とにかく今あるPCをアップグレードして使いたいという考えであれば止めませんが、PCパーツは周りのパーツとのバランスが重要なので、出来るだけまとめて新調してしまうことをおススメします

推奨電源に満たない電源を搭載したものに増設を行ってしまうと、動作不安定になり、フリーズ等の症状が出る場合があります。

所有するパソコンに新しく取り付ける場合は、パソコンの型番などを検索して詳細スペックを確認し、必要条件を満たしているかどうか必ず事前に確認してください。

中古品の購入は基本的に推奨しない

劣化具合などコンディションが分からない

グラボ購入において、中古品の購入は特にリスクが付きまといます。
一時期流行していたマイニングで酷使されたグラボが中古市場に多く出回っていること、改造を判断するための封印シールが市場で出回っていることから、その判別は詳しい人間でも難しいのです。

リスクを承知で価格を取るというのであれば止めませんが、できるだけ中古品は避けた方が良いです。

筆者:カゲイヌ

不満が出た時が買い替え時

楽しみを楽しめなくなったら買い替えよう

寿命は物理的な破損だけではない

グラボの寿命は「動作環境に不満が出るまで」
期待していた最新作のプレイ時や、新しい挑戦を試みた時の動作環境に不満が出た時は、買い換え検討の時期だと割り切って、自分に最適な選択をしていきましょう。

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