PCゲームの大手プラットフォームである「Steam」にて10月17日まで開催されていたSteam NEXTフェス。
そのイベントでは、インディー系を中心に販売予定のゲームのDEMO版が数多く解放されていました。
今回は、そんなゲームたちの中でも特に注目されていた「Enshrouded」のDEMO版をプレイし、プレイユーザー視点で感じたこのゲームの感想や、ゲームの特徴などを解説します。
作品概要
ゲームタイトル:Enshrouded
ジャンル:オープンワールドサバイバルクラフト
プレイ人数:1~16人
デベロッパー:Keen Games GmbH
パブリッシャー:Keen Games GmbH
リリース日:近日登場
このゲームについて
公式掲載のPC最小スペック | |
CPU | Intel Core i5-6400 AMD Ryzen 5 1500X |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1060 AMD Radeon RX 580 |
RAM | 16 GB RAM |
ストレージ | 60 GB の空き容量 |
公式掲載のPC推奨スペック | |
CPU | Intel i7-8700 Ryzen 7 2700X |
GPU | NVIDIA RTX 2070 Super AMD Radeon RX 6700 XT |
RAM | 16 GB RAM |
ストレージ | 60 GB の空き容量 |
総合評価
高グラフィック・世界観・操作性・ゲームバランス。贅沢なファンタジー調クラフトシム
本作は、自分が好んで遊んでいるジャンルの「新作ゲーム」と言われた時、誰もが期待するであろうグラフィック体験の向上や操作性の改善、世界観の保持やゲームバランスの調整など、さまざまな要素が取り入れられ、「いつもの変わらぬ体験」と「新しい発見」が両立し、絶妙なバランスのゲームであると感じました。
プレイ中に感じた不満点は、DEMO版であり開発途中だからこそ、今後改善されていくであろう「最適化」の範疇に留まっており、エリアの探索や建築物のクラフト、狩猟や戦闘の中で新しい発見を得ながら進んでいった先でプレイヤーたちを阻んだ「開発途中が故のエリア制限」という世界の果てが寂しく感じてしまうほど楽しいゲームでした。
さらに、日本人ゲームプレイヤーとしては欠かせない「日本語対応」もDEMO版の時点ですでに実装されていて、これは注目せざるを得ません。
動作環境
グラフィックは天井から妥協点を見出す必要がある
本作の魅力の一つである高級なグラフィック。
ゲームのコンセプトでもある「霧」の表現や光の反射、影によるリアルな質感の演出など没入感を増幅させる魅力的な要素であることに変わりはありませんが、かなりのスペックを要求されてしまいます。
今回、DEMO版をプレイするにあたって使用したPCにはRTX3080が搭載されており、最新世代のRTX4070に匹敵する性能を有しています。
そんなGPUを搭載したPCでも、今回のDEMOプレイではフルHD最高設定を維持したままプレイするには十分な安定性を得られず、グラフィック設定を少し変更する必要がありました。
筆者のメインモニターは、近頃普及しつつあるWQHD(2560*1440)解像度の144Hzモニターを採用しています。
フルHD最高設定で動作が安定しないならWQHDなんてもってのほかで、30FPSすら下回ってしまうことが多かったです。
高解像度モニターを採用しているユーザーは、ネイティブ解像度を重視するか、グラフィック設定を重視するかの選択を迫られてしまいます。
本作は開発途中であり、最適化についても道半ばであるため、正規リリース後はどこまで改善しているのかも注目したいですね。
ゲームシステム
ストレスフリーにしてくれる移動用アクションにファストトラベルまで
このゲームでは、広大なマップを探索するオープンワールドのゲームにおいて、重要な要素である「移動」を特に意識して作られているように感じました。
ウイングスーツのような形状のグライダーを使用したスピーディーな移動に加え、特定の場所でグラップリングフックを使用する移動アクション。
スタミナを使用した自由な登り降りではなく、特定の場所で最適なアイテムやアクションを使用することでスムーズに移動が可能というコンセプトでした。
さらに、自身の拠点を築くのに必要となる「祭壇」を設置することで、いつでもどこでも祭壇へファストトラベルが可能になっており、初見エリアへの探索やクラフト素材収集のための遠征などが気軽に行えるようになっていました。
ハードコア風の手ごたえのあるアクションも魅力
ファンタジー調のオープンワールドクラフトシムと言えば、戦闘アクションにも注目したいところです。
未知のエリアで遭遇する敵や迷子の先で出会ってしまったボスなど、適度な緊張感とトラブルがより没入感を与えてくれます。
ゲームを始めてすぐに確認することができるプレイヤーのHPパラメーターですが、どこか既視感を覚えました。
その既視感はまさに的中といった感じで、ハードコアアクションで有名な「ダークソウル」や「エルデンリング」などのソウルライクゲームに似たアクション性でした。(筆者が並行してLies of Pをやっているからというのもある)
レベル1の敵から受けるダメージすらかなり痛く、雑に戦ったり複数の敵との攻防戦になると、あっという間にHPを持っていかれ、自分の攻撃や回避にはスタミナ管理が重要という緊張感あるアクションが体験できます。
手ごたえのしっかりした戦闘バランスに加え、各所に配置されたボスを倒すと「高レアリティでデザインが派手な武器」がドロップされるのもプレイヤーの喜びそうなことをしっかりと考えてくれていると感じます。
死んでしまうと、死亡した位置に「クラフト素材」のみをドロップしてリスポン位置に戻ってしまうシステムなため、そこまで痛手ではないにしても素材回収での遠征中に発生する不意なエンカウントなどは程々に緊張感があります。
”定番の”素材収集に加えNPCを活用したクラフトの拡張要素
本作でのクラフトは、同ジャンルゲームで定番の「ツール」を使用した素材集めから「作業台」を利用したクラフトアイテムの作成が中心ですが、オリジナル要素として「NPCによるクラフトアイテムの拡張」があります。
クエストを進行していくと、本作に登場するフレイムボーンと呼ばれる種族の魂を回収することができます。
その魂を自身の拠点まで運び、任意の場所で召喚することで魂はNPCとして復活し、プレイヤーたちの目的を手助けしてくれます。
今回のDEMO版で登場した「オズワルド」は鍛冶師としてプレイヤーたちに協力し、武器などの作成可能なクラフトアイテムの拡張や強化を行えるようにしてくれました。
オンラインマルチプレイが可能なオープンワールドクラフトシムにおいて、プレイヤーたち以外に味方としてNPCが参戦するゲームはかなり稀でしたので、とても新鮮味があり面白いですね。
ハウジング要素は「ドア」や「壁」、「屋根」など決められたブロックで構築していく一般的なハウジングではありますが、「1×1ブロック」を使用した細かい装飾も可能でした。
本格的な建築が可能というわけではありませんでしたが、さまざまなテンプレートを使用しながら細かい部分は自身で調整可能な配慮がある点では、今後のアップデートにもかなり期待できますね。
さらに、個人的に本作は「暗闇の中にある火の光表現」がとても最高で、暖炉を使用して肉を焼くという演出がとても気に入ってしまいました。
こういう非日常的ながらもリアルな演出というのがシミュレーションゲームの真骨頂であると思っている筆者は、これだけでも満足してしまったくらいです。
活動限界が設定されている”霧の中”はそこまで厳しい難易度ではない
本作のメインテーマでもある「シュラウド」と呼ばれる濃霧に包まれたエリアでは、最大5分に設定された活動限界があり、そのエリアに踏み込んだ時点からカウントダウンが画面中央上部に表示されます。
初見のうちはかなり躊躇してしまうエリアの探索なのですが、実際に踏み込んでみると活動時間にはかなり余裕があります。
さらには休憩スポットが濃霧エリアの各所に配置されているため、ステータス管理と目的のマルチタスクが苦手な人でも問題なくプレイできるバランスでした。
朝⇒夜切り替えの表現は少し気になる
ここまで全て好印象な内容になっていますが、ここであえて気になった点を挙げるとすれば「朝から夜」「夜から朝」に切り替わるときの光の表現でしょうか。
※強い明暗表現が含まれているので、ご視聴の際はご注意ください※
これがかなり激しい明暗表現でして、「ジェットカットでもした?」ってレベルで急に明るくなってしまうんです。
筆者は強い明暗表現に対して耐性がある方みたいで「眩しッ!」となる程度で済みましたが、人によってはこれだけは注意、場合によってはプレイそのものを諦めざるを得ないのではないかと感じてしまいました。
まとめ
今回は、Steamで開催されたSteam NEXTフェスにて注目されていたゲームの中から「Enshrouded」をプレイし、その特徴や感想を解説させていただきました。
かなり期待度高め
ゲームの開発技術の発展によって、高品質なゲームが生まれ続けている昨今ですが、そんな中でもグラフィック・アクション・世界観とその自由度に長けており、Enshroudedはかなり注目できる作品であると思います。
リリース時期や価格については、この記事を書いている時点では未定となっていますが、Steamでは近日登場予定とのアナウンスが掲載されていますので、ワクワクしながら待ちたいと思います。