様々なゲームで推奨スペックとして掲載されることが多いGTX1060。
ただ、販売から5年以上経過しており、世の中は4KやWQHDに移行しつつあります。
そんな中、気になるのが「GTX1060でWQHD解像度のゲームは出来るのか?」という点です。
今回は、GTX1060を搭載したPCを実際に使用して様々なゲームで検証してみました!
当GPUや現行世代で同じクラスのGPUを採用している(検討している)方は、是非参考にしてみてください。
目次(クリックorタップでジャンプ)
そもそもGTX1060って?
約7年前に販売されたNVIDIA GTX10XXシリーズのミドルクラスGPU
GTX1060は、GTX10XXシリーズから2016年に販売されたミドルクラスのGPUです。
その当時の性能は、前世代にあたるGTX9XXシリーズのハイエンドクラスであるGTX980に匹敵するほどの性能を発揮し、大きな注目を集めました。
このGTXブランドのGPUを販売するNVIDIAから提供されるGPUのクラスは、「GTX」や「RTX」というブランド名の後ろにある1~2桁の数字の後に付随する「60」など2桁の数字や記号で判別できます。
ハイエンド | 90Ti 90 80Ti 80 |
ミドルハイ | 70Ti 70 |
ミドル | 60Ti 60 |
ローエンド | 50Ti 50 |
PCゲーム市場大手プラットフォーム”STEAM”の統計で使用率3位に食い込むGPU
STEAM最新統計GPU使用率TOP3 | |
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NVIDIA GTX1650 | 5.11% |
NVIDIA RTX3060 | 4.87% |
NVIDIA GTX1060 | 4.31% |
GTX1060は、2016年の下半期にNVIDIAから販売されたベテランGPUであるにも拘わらず、PCゲームプラットフォームの最大手である「STEAM」のGPU使用率統計において、この記事を書いている時点で掲載されている最新の統計でも上位にランクインするほどの大人気GPUです。
現行世代での比較対象はGTX1650とGTX1660
GTX1060と比較される現行世代のGPUは、BTOゲーミングパソコン市場で10~12万円ほどの構成で採用されているGTX16XXシリーズから「GTX1650」と「GTX1660」が挙げられます。
GTX1650と比較するとGTX1060は10%ほどゲーム性能が高く、GTX1660と比較すると10~20%ほどゲーム性能が下回っています。
PCとモニターのスペック/検証コンセプト
検証PCスペック
CPU | Intel Core i7 12700K 12コア/20スレッド 4.7GHz |
GPU | NVIDIA GTX1060 6GB |
RAM | 32GB |
SSD | M.2 GEN4 1TB |
PSU | 1000W platinum認証 |
グラフィックドライバー | 536.99 |
普段、筆者が使用しているPCからGPUだけGTX1060 6GBに変更して検証します。
PC知識があまりない人からすれば、この構成にどういった意味があるのか分からない方もいると思いますが、とにかくGPUの足を引っ張らないように周りのパーツ構成は「ほぼ最新の最高性能」で構成されていると考えてもらえればいいです。
使用するモニターのスペック
解像度 | 2560*1440(1440P) |
リフレッシュレート | 144Hz |
応答速度 | 1ms(GtoG) |
最大で144Hzに対応したWQHDゲーミングモニターを使用します。
応答速度は1msと一般的なゲーム性能。
検証コンセプト
- 解像度はもちろん「2560*1440」
- グラフィックプリセットの「高設定」または「推奨設定」で計測。FPS上限を外せる場合は外す
- ②で60FPSを下回る場合は、60FPSを目標にしたカスタム設定を模索
- ②と③の映像比較を行う
原神/Genshin impact
システム:Windows 10 64-bit、またはWindows 11 64-bit
CPU:Intel® Core™ i7(第7世代)またはそれ以上の性能を持つもの
RAM:16 GB
GPU: NVIDIA® GeForce® GTX 1060 6GBまたはそれ以上の性能を持つもの
このゲームの推奨GPUは今回検証するGTX1060。
フルHD環境でのゲームプレイであれば推奨要件を満たしているので問題ないですが、WQHDになるとどうなるでしょうか。
グラフィックプリセット高設定でのフレームレート
まずは、ゲーム内時間で日中のフレームレートを計測しました。
リリースから時間が経過しているモンドと璃月については非常に安定しているものの、以降で追加された稲妻やスメールでは、このゲームのフレームレート上限値である60FPSに触れることはあっても実際にプレイしている最中は変動が激しく、最小~平均辺りをうろついていました。
特に「アアル村」周辺の砂漠地帯はとても重たく、その地域に侵入するとフレームレートの低下をすぐに体感できました。
次に、ゲーム内で夜のフレームレートはこんな感じになりました。
夜は、光や影の描写が増え、明暗をはっきり表現されるため、日中は安定していた璃月ですら低下傾向。
昼間でも重たかったアアル村では、影の挿入が増えることでさらに重くなる結果に。
リリース初期から存在しているモンド周辺の安定感はさすが。
昼間の安定感は一体どこへ行ってしまったのかと感じてしまうほど、あらゆる場面でフレームレートが不安定に。
GPUも99%に張り付きっぱなしで余裕がないことが分かります。
影を低設定にすることで簡単に安定化した
このゲームでは、シャドウ品質を「低設定」にすることで、薄い霧や砂埃の表現を行う「ボリュームフォグ」が自動的にOFFになることから、簡単にフレームレートの安定化に成功しました。
著しく低下していたアアル村周辺でも、安定化に成功。
カメラの角度などで若干の不安定さは残るものの、普通にプレイしている分には一切気にならなくなりました。
プリセットの高設定から変更した部分と比較画像は下記
表示モード:2560*1440⇒変更なし
フレームレート:60⇒変更なし
レンダリング精度1.0⇒変更なし
シャドウ品質:高⇒低
グローバルイルミネーション:高⇒変更なし
視覚効果:高⇒変更なし
SFX品質:高⇒変更なし
シーン細部:高⇒最高
アンチエイリアス:FSR2⇒変更なし
ボリュームフォグ:ON⇒シャドウ品質低設定で自動的にOFFへ
反射:ON⇒変更なし
モーションブラー:高⇒お好み
Bloom:ON⇒変更なし
人群れの密度:高⇒変更なし
マルチプレイ時、チームメイトSFX:ON⇒完全にブロック
サブサーフェス・スキャタリング:高⇒変更なし
異方性サンプリング:8x⇒変更なし
高プリセットとカスタム設定の比較
影が薄くなることで映像の質感が少しばかり軽くはなりますが、WQHDの高解像度感を失わずに安定してプレイ可能です。
崩壊:スターレイル
システム:Windows 10 64ビット版またはそれ以上
CPU:Intel core i7
GPU:GTX1060 6GB以上
RAM:8GB
原神と同じ企業が提供するこのゲームでは、推奨スペックも原神と同じみたいですね。
とはいえ、原神から約2年半後に登場したゲームですので、WQHDでプレイすることは叶うのでしょうか。
グラフィックプリセット高設定でのフレームレート
こちらが各コンテンツの倍速周回およびエリアを1周しながら計測した数値になります。
はい。なんかいけちゃいました。。。
キャラクターの必殺技や敵のカットシーン挿入の場面で、一瞬フレームレートが下がるものの、ほんとに一瞬なので数値を眺めていないと気付きません。
体感的には「原神」よりも全然余裕でした。
とはいえ、マップでの探索は若干不安定かなという印象。
50FPSを下回ることはほとんどないのですが、60FPSに届くこともあんまりないので、もう一声欲しいなという感じ。
レンダリング精度1.2⇒1.0で安定
このゲームでは、グラフィックプリセットの高設定を使用すると、レンダリング精度が1.2になっているので、これを1.0にすることでフレームレート問題は解決しました。
このゲームはオープンワールドではないので、場所によって負荷の大きさもかなり異なる様子。
レンダリング精度を1.0へ変更するとGPU使用率にも余裕が生まれる場面がありました。
レンダリング精度1.2と1.0の比較
どうでしょうか。
正直見比べても分からないレベルなので、フレーム安定の為に割り切ってレンダリング精度は1.0でやってしまった方が滑らかな画質が得られるので良いかなと思います。
Hi-Fi RUSH
システム:Windows10/11
CPU:Intel Core i7-6700,Ryzen5 1500X
GPU:NVIDIA RTX2070
RAM:8GB
このゲームは筆者の個人的GOTYなリズムアクションゲームです。
マイクロソフト傘下のスタジオによる開発のため、プレイステーションでの展開は行われておりませんが、PC勢なら販売当時に聞いたことはあるのではないでしょうか。
推奨要件はRTX2070とかなり高性能なものを要求されており、プレイ前にこの項目から感じられる圧でプレイを諦めている人も多いのでは。
推奨されているスペックだけ見ると全くもってダメそうなGTX1060はWQHDでプレイ可能なのでしょうか。
グラフィックプリセット「高」でのフレームレート
この通り、高設定を利用しても安定してプレイが可能でした。
詳しくない人からすれば意外に思われるかもしれませんね。
このゲームで一番動きの多い戦闘場面でもしっかりと60FPS以上を保ってくれています。
物理シミュレーションを弄らなければ問題ない
このゲームのグラフィック設定項目下部に存在する「物理シミュレーション」を低設定以上に変更しなければ問題なくプレイ可能です。
この物理シミュレーションの設定項目は、特定のイベントのみに採用されるようで、基本的な演出には影響がないとのこと。
筆者がメインGPUのRTX3080を使用してプレイしている際にも低設定のままなので特に気にならないと思います。
Palia/オープンベータテスト版
品質プリセットの提案: 高 – 中 (またはそれ以下)
OS:Windows 10 64ビット以上
CPU:Intel i5-7300 / AMD Ryzen 3 3300U または同等品
RAM:8GB
GPU:Nvidia GTX 1060 / AMD RX 580 または同等品
VRAM:4GB
このゲームは、現在オープンベータテスト版としてサービスが展開されている基本無料スローライフMMOです。
日本向けのローカライズはまだ行われていませんが、Nintendo Switchでもサービス展開予定とのことでニンテンドーダイレクトでも配信されました。
こちらも推奨要件であるGPUはGTX1060のようで、さらには詳細のプリセット設定も提案されていますね。
では、WQHD解像度のプレイはどんな感じになるでしょうか。
グラフィックプリセット高設定でのフレームレート
このゲームは時間の概念が存在するので、昼と影が一番多くなる夕方の計測を行います。
フレームレート上限を無制限に設定して計測。
平均値は60FPS付近で安定している印象ですが、プレイしているとカクつきが目立つように感じます。
ただ、このゲームは現在、日本向けのローカライズが行われていないため、海外サーバーへのアクセスによる同期ずれが一番の原因として挙げられます。
同期ずれの様なカクつきが発生したときに最小値が下がるため、最大値と比較すると不安定に感じますが、平均値は60FPS以上を保っているため、大きな弊害はありませんでした。
次に夕方を計測。
ソロエリアは比較的影響は少ないものの、やはりマルチエリアではオブジェクト配置が多い部分で影の挿入が多くなることから、必然的に負荷が上昇しています。
影の差し込みとオブジェクトが重なり合う場面にカメラを向けると、露骨にフレームレートが低下します。
セミオープンワールドで自由に駆け巡ることができるゲームなので、この辺は解消したいところ。
影を高⇒中、エフェクトを高⇒低で安定
グラフィックプリセットの高設定から、影を「高⇒中」エフェクトを「高⇒低」にすることで最小すら60FPSを下回ることがない安定したプレイが可能に。
アクション性のないスローライフジャンルのゲームであれば、これだけ出ていれば十分なレベル。
エフェクトを大きく下げた理由は、クラフトアイテムを自由における「ソロエリア」では、色んな表現が重なり合うことが多く、若干不安定だったため。
グラフィックプリセット「高」と「カスタム」の比較
高設定と比較すると、影が若干薄くなることでオブジェクトの質感は少し落ちます。
ただし、比較すると分かりやすいだけであって、プレイ中の満足感はそこまで変わらない印象でした。
エルデンリング
システム:Windows10/11
CPU:Intel core i7-8700K or AMD RYZEN5 3600X
RAM:16GB
GPU:NVIDIA GEFORCE GTX 1070 8 GB or AMD RADEON RX VEGA 56 8 GB
GTX10XXシリーズがPCユーザーの大多数を占めていた2022年代に販売されたこのゲームは、人気の作品の中でもかなり重たい部類のゲームです。
推奨要件もGTX1070以上とGTX1060の上位グレードに位置するGPUが指定されています。
果たして、GTX1060でWQHDプレイはできるのか・・・
グラフィックプリセット「高」と「低」のフレームレート
はい。
まぁだろうなとは思ってはいましたが、まさか低設定でも安定しないとは・・・
高設定ではほんとにプレイがままならない状態。
せめて30で安定してくれればと思いましたが、表示領域が場面ごとに大きく変わるオープンワールドゲームではそれも叶わず・・・
筆者も「そういえばPS3の時代は30FPSだったんだよなぁ」と思い出にふけてしまう始末。
WQHDモニターでプレイするなら、フルHDの拡大表示(フルスクリーン)がおすすめ
拡大表示とは、一度モニターの解像度よりも低い解像度で入力したものをモニターへ出力する際にモニター解像度に合わせてアップスケーリングすることです。
今回の場合だとゲーム内設定で解像度をフルHD(1920*1080)のフルスクリーン表示にすることで、WQHDモニターの解像度に合わせてフルスクリーンで表示する方法。
当然、ネイティブなWQHD解像度と比較すると「ぼやけたように」画質の劣化が発生してしまいますが、どうしてもWQHDモニターや4Kモニターを採用したい人の為の必殺技。
フルHD解像度でレンダリングしたものであればGTX1060でも安定してプレイが可能だったので、悔しいですけどこれが一番最適解ですね。
WQHD低設定とフルHD高設定の比較
今回は、ネイティブなWQHDでのプレイが叶わなかったため、WQHDの低設定と比較。
やはり低設定と比較してもぼやけているようには感じますが、草木の密度や影などのボリューム面とフレームレートの安定性で体験はカバーできているかなという印象。
ただ、WQHD以上のモニターを採用検討していて、このクラスのゲームをプレイするのであれば、GPUの買い換えは検討しなければなりませんね・・・
スターフィールド
システム:Windows10以上
CPU:Intel Intel core i5-10600K,AMD RYZEN5 3600X
GPU:RTX2080,AMD RX 6800XT
RAM:16GB
出ました!次世代モンスター級オープンワールドゲーム!
推奨要件はさすがのハイエンド指定!
もってくれよ!俺のGTX1060!
グラフィックプリセット【高】~【低】のフレームレート
まぁ控えめに言っても無理かなという印象。
低設定で30FPSを安定して描画しており、先程のエルデンリングと比較すると動作が軽いようにも思えますが、その理由を下記で説明します。
ダイナミックレゾリューションがONの状態でこれ
このゲームでは、ゲーム内設定で画面解像度の変更が出来ない代わりに、レンダリングスケールの設定やダイナミックレゾリューションという設定が存在します。
ダイナミックレゾリューションとは、PCにゲームの負荷が強くかかった際に画面解像度を自動的に変更してくれるものなのですが、これをONにしたときとOFFまたは設定が働いていない時に大きな画質の差が生まれてしまいます。
プリセットの高設定で比較すると下記のようになります
どれだけ設定を上げても画質が潰れてしまうんですよね。
30FPSを安定させた低設定の実際の画質はこうなります。
正直、プレイしていてかなり辛いです。
やはりAAAと呼ばれる最先端の技術を盛り込んだ次世代型ゲームは見合ったGPUの採用を検討しなければなりません。
まとめ
ゲームを選べばプレイ可能。拡大表示もゲームによってはあり
GTX1060や同等性能くらいである現行世代のGPUは、ゲームを選べばネイティブWQHD解像度でゲームが可能であり、ゲームによっては拡大表示という方法でプレイすることが可能でした。
特に推奨要件がGTX1060である場合においては、最高設定では安定した動作を得られないものの、少し設定を弄るだけで可能性が広がるというのが今回の検証で良く分かりました。
リリースを控えているアニメ調アクションゲームの「鳴潮」も推奨要件がGTX1060なので、リリースされたらこちらも1060でプレイしてみたいなと思います。
あくまで可能性の検証であって、おすすめしているわけではない
今回の検証で確かにゲームによってはWQHD解像度でゲームがプレイできることが分かりましたが、決しておすすめしているわけではありません。
今回検証した筆者の様に、時間をかけて設定を煮詰めていかなければならないことや、最終的には諦めなければいけないケースもあり、ゲームの枠を超えた別の趣味の範疇です。
WQHDで安定してゲームをプレイするならRTX4070以上を推奨
筆者がメインで使用しているGPUであるRTX3080から更に性能が向上したRTX4070は、高グラフィックゲームでのWQHDプレイを安定して行える最新世代のGPUです。
このGPUを採用したBTOパソコンは大体20万円~と価格は高めですが、今回の検証の様な面倒を避けて安心してゲームをプレイすることができ、相応の価値がありますので、WQHDでの幅広いゲームプレイを想定している方は一度検討してみてはいかがでしょうか。